別名:V.O.、VO、ナレーション
その瞬間、シーンの空間で声に出して話されていないのに聞こえるセリフです。ナレーション、記憶の中の声、登場人物の心の声、電話の向こう側の声など。登場人物の横に(V.O.)と記します。
ページ上では
ボイスオーバー
MAYA (V.O.)
あのとき、出ていけばよかった。
ボイスオーバーは、本来なら観客に感じ取らせるべき筋をつなぐ接着剤として、つい使いすぎてしまいがちです。うまくいくときは、皮肉、親密さ、映像だけでは担えない枠組みといった視点を持っています。うまくいかないときは、わかりきったことを語り、メモやカバレッジで真っ先に削るよう求められるものになります。
V.O. は役名に付け、その瞬間の声が通常の画面上の発話ではないことを、読み手と俳優にわかるようにしましょう。この区別をト書きの中だけに埋もれさせてはいけません。制作も読み合わせも、リハーサルや撮影のときに話し手の表記を探すまさにその場所に、拡張が書かれている必要があります。
役に立つ確かめ方があります。V.O. を消して、それでもシーンが成り立つか見てみることです。映像がすでにビートを伝えているなら、そのナレーションはおそらく水増しです。態度、信頼できない語りの枠組み、あるいは声なしではカメラが倫理的にも実際的にも見せられない情報を加える V.O. を残しましょう。
O.S. は、人物がシーンの世界にはいるものの、見えていないことを意味します。V.O. は、その場で生で話している存在ではなく、シーンに重ねられる声です。ナレーション、記憶、その場にいない話し手などです。
読み手が嫌うのは、手抜きのボイスオーバーです。はっきりした役目を持つ個性的な V.O. は今も評価されます。映像を説明するだけの重複した V.O. は、メモやカバレッジのコメントで真っ先に削られます。
声に態度と目的があるなら、かまいません。あらゆる感情にラベルを貼っていく観光ガイドのような現在形のナレーションは、シーンを平板にしがちです。見えるものに字幕を付けるのではなく、声が見えるものと言い争うようにしましょう。
役名に付ける(V.O.)の拡張はそのままです。制作はあとでADRや仮音声のメモを加えることがありますが、ページ上では声を使う物語上の理由をはっきりさせ、映らない顔の書き忘れではなく意図した音響設計だと各部署にわかるようにしましょう。