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物語の技法

世界観設定

別名:ワールドビルディング

物語の舞台となる世界を設計することです。ルール、歴史、力、組織、そしてそれぞれの代償を決めます。脚本では、世界は説明ではなく、登場人物に何ができ、何に阻まれ、何を支払うかを通して見えてきます。

実践では

どの物語にも世界がありますが、この言葉は通常、意図的に作られる世界を指します。ファンタジー、SF、ホラー、歴史改変もののように、書き手がルールを発明するものです。小説家はそれに何ページも費やせます。脚本はおよそ1ページ1分なので、世界の大部分は、すでに別の役目を担っているシーンを通して届けなければなりません。

画面上で大事なルールは、圧力を生むルールです。ここの人々には、私たちにできない何ができるのか。その代償は何か。誰がそれを握り、誰が締め出されているのか。世界がその存在意義を得るのは、ルールが説明シーンで語られたときではなく、登場人物が何を選べるかを決めるときです。

世界の全体は脚本とは別の場所にまとめておきましょう。シリーズバイブルのような、ライターズルームが確認できるルールと歴史の文書です。そのうえで、観客が物語を追うのに必要なものだけをページに載せ、前のシーンで確立したルールを、どのシーンもひそかに破っていないか確かめます。

シーンの中の世界観設定

説明なしに、代償を通して示すルール

EXT. 配給所 - 昼

空のガラス瓶を手にした100人の、無言の行列。頭上のスクリーンには「給水クレジット:2.0L」と表示されている。

テス(17)が先頭にたどり着く。係員が彼女の手首をスキャンする。スクリーンが赤く点滅する。「0.5L」。

TESS

2リットルって書いてあった。

係員

あなたの口座に、ご兄弟が入ったんです。分けることになります。

彼女の後ろで、誰も文句を言わない。みんな、このやり取りを経験済みなのだ。

水がどう配給されているかは誰も説明しませんし、説明する必要もありません。ルールは1人の人物が払う代償を通してやって来て、ほかの全員の沈黙が、何年も前からこうなのだと観客に伝えます。この8行は、1ページのナレーションが届けられるより多くの世界を伝えています。

ページにどれだけの世界を載せるか

氷山を思い浮かべてください。アーネスト・ヘミングウェイは、書き手は自分の知っていることを省いても、本当に知ってさえいれば、物語はその重みを保つと論じました。脚本家も同じです。自分の世界についてのどんな質問にも答えられるべきであり、脚本には物語に触れる小さな部分だけを見せます。

1つひとつの細部を試す基準は、それがシーンの中の選択、代償、危険を変えるかどうかです。どの登場人物も実感していない昔の戦争の歴史は、バイブルで待たせておけます。暗くなる前に人物を家へ走らせる夜間外出禁止令は、ページに載せるべきです。それは何かをしているからです。

シーンを通して世界を見せる

登場人物には、世界を当たり前のものとして扱わせましょう。人は自分たちの習慣を互いに説明したりしないので、もっとも強い世界観設定は振る舞いです。何を恐れ、何に金を払い、権力者をどんな言葉で呼ぶか。観客が意味を読み解かなければならない俗語の1行は、定義よりも多くを伝えます。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、ほとんど説明なしに、水、燃料、人体からなる経済をまるごと築き上げます。私たちは人々が何を奪い合うかからそれを学びます。『トゥモロー・ワールド』は、子どもがいない世界を、フレームの端にある細部を通して見せます。『スター・ウォーズ』のようなタイトルクロールでさえ、観客に最小限のことだけを伝えてすぐに引っ込むからこそ機能します。

世界の残りはどこに置くか

世界観設定の文書、あるいはシリーズバイブルの世界の章には、脚本が省くものを収めます。ルールとその代償、現在を説明する歴史、勢力とそれぞれが誰に従っているか、地理、技術や魔法、そしてそれらすべてを人々が呼ぶ言葉です。

シリーズでは、この文書は設定の一貫性の記録でもあります。ある話が新しいルールや事実を確立したら、その日のうちにバイブルに書き込みます。そうすれば後の話はそれと矛盾せずにその上に築かれ、世界のルールは脚本が制作に回った後ではなく、回る前に確認されます。

よくある失敗

説明のためのシーン。2人の人物が、観客のために、お互いすでに知っていることを説明し合うものです。世界の仕組みを観客に伝えるためだけにあるシーンなら、その情報を、それ自体の対立を持つシーンに織り込みましょう。

用語の詰め込み。最初の10ページに十数個の造語が並ぶものです。読み手は、1つひとつに意味があれば新しい言葉をいくつかは覚えますが、すべての名詞が新しいと流し読みします。物語に必要な造語を、それが重要になる瞬間に、1つずつ導入しましょう。

破られたルール。もっとも害の大きい失敗は、筋が必要とするときに変わる世界です。観客はいったんルールを知ると、物語にそれを守らせようとします。だからこそ、世界観設定と不信の一時停止は、同じ問題を2つの側から見たものなのです。

よくある質問

脚本で世界観設定はどう見せればよいですか?

振る舞いと結果を通して見せます。登場人物が当然と思っていること、恐れていること、代償を払うものです。ト書きの1つの細部や、誰かに代償を払わせるルールのほうが、説明のシーンよりも多くを伝えます。

英語では worldbuilding と world-building のどちらで書きますか?

どちらでもかまいません。Merriam-Webster は world-building を見出しにし、world building と worldbuilding を異形として挙げています。どれか1つに決めて、シリーズバイブルの中で統一しましょう。

世界観設定はファンタジーやSF以外でも重要ですか?

はい。病院、犯罪一家、報道局、時代設定には、どれも独自のルール、序列、言葉があります。地に足のついたドラマにも同じ一貫性が必要で、ただそのルールを現実の世界から借りているだけです。

世界観設定の文書には何を含めるべきですか?

ルールとそれぞれの代償、現在を説明する歴史、勢力と誰が何を握っているか、地理、技術や魔法、そして造語です。シリーズなら、各話で確立されたすべての事実を加えます。

映画で優れた世界観設定の例にはどんなものがありますか?

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と『トゥモロー・ワールド』がよく挙げられます。説明をほとんど使わず、ほぼ振る舞いと背景の細部だけで緻密な世界を築いているからです。

世界観設定と舞台設定の違いは何ですか?

舞台設定は、物語がいつ、どこで起きるかです。世界観設定は、その場所がどう機能するかを決める作業で、ルール、歴史、誰が力を握っているか、物事に何の代償がかかるかを決めます。どの物語にも舞台設定はありますが、その設定が登場人物の選択を左右するようにするのが世界観設定です。

世界観設定はどこから始めればいいですか?

その世界を特別にしているひとつのルールと、それが主人公にかける圧力から始めましょう。そこから外側へ広げていきます。そのルールで得をするのは誰か、代償を払うのは誰か、破った者には何が起きるのか。そのルールにつながらない細部は後回しで構いません。

脚本ではどこからが世界観設定の盛り込みすぎですか?

観客が必要とする前に伝えられることはすべて、盛り込みすぎです。あるルールが物語の中の選択、代償、危険に影響しないなら、ページではなくバイブルにとどめておきましょう。