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短編小説の書き方

短編小説の書き方をステップごとに解説します。アイデア、プレミス、長さ、主人公、構成、書き出し、結末、推敲、そして投稿先まで。

ステップ1/9 · 準備

短編小説はどう書き始めればいいですか?

筋書きからではなく、ひとつの場面から始めましょう。短編はたいていひとつの状況を軸にしています。何かが変わらざるを得ない瞬間に、追いつめられている一人の人間です。その瞬間は、すでに自分の中にあるものから探せます。耳にした口論、かつての仕事、頭から離れない場所、答えの出ない問い。そのうえで、その真ん中に立っているのは誰か、その人がいま何を望んでいるかを考えます。

アイデアの一覧を作り、選ぶ前に一週間ほど書き足していきましょう。書く価値があるのは、まだ問いが残っているアイデアであることが多いものです。何が起きて何を意味するかをすべて知っているなら、書くことで見つけるものは残っていません。アイデアが浮かばないときは、人物・望み・障害がそろったお題を使うと、三つを一度に手にできます。

ステップ2/9 · 準備

アイデアを物語にするにはどうすればいいですか?

プレミスを一文で書きます。誰の話か、その人は何を望むか、何がそれを阻むか、そして最後に何が変わっているか。短編に入る大きな葛藤はひとつなので、プレミスもひとつに絞ります。問題を説明するのに「そして」が二度必要なら、それは二つの短編か、長編かもしれません。

いちばん大事なのは最後の部分です。結末では何かが違っているべきです。状況か、人物が知っていることか、読者がその人物について理解していることか。何も変わらない話はスケッチや掌編的な小品で、それ自体は良い形式ですが、意図して書きましょう。

短編のプレミスを四つの部分で一人の人物、一つの望み、一つの障害、一つの変化。どれかが欠けていれば、そのアイデアはまだ物語になっていません。
誰が
夜勤のパン職人の女性が
望む
店をあと一か月だけ開けておきたい
しかし
初恋の相手である大家の息子が、立ち退きの通知を持ってくる
最後に
彼女は店を手放し、誇りは手放さない

ステップ3/9 · 準備

短編小説の長さはどれくらいですか?

日本の短編小説は400字詰め原稿用紙でおよそ数十枚、1万〜3万字前後のものが多く、数枚〜十数枚のごく短いものはショートショートや掌編と呼ばれます。新人賞の短編部門では応募規定で枚数の上限が決められており、30枚程度から100枚程度まで賞によって幅があります。英語圏では1,000〜7,500語が短編の目安で、アメリカのSFファンタジー作家協会(SFWA)は7,500〜17,500語をノヴェレット、17,500〜40,000語をノヴェラと区分しています。

初稿では物語に長さを見つけさせ、そのあとで応募先の規定と照らし合わせましょう。規定を超えた原稿はそれだけで選考から外れることがあります。1分に600字ほど読むとすると、2万字の短編は30分強で読み終わります。一度に読み切れることこそ、この形式の持ち味です。

英語圏の短い小説の語数区分SFWAが賞の部門分けに使う区分に、1,000語未満のフラッシュフィクションを加えたものです。日本の新人賞は原稿用紙の枚数で規定します。
  • フラッシュフィクション1,000語未満
  • 短編1,000〜7,500語
  • ノヴェレット7,500〜17,500語
  • 中編(ノヴェラ)17,500〜40,000語

ステップ4/9 · 準備

短編の主人公はどう書けばいいですか?

冒頭の場面で、一人の人物にはっきりした望みを持たせ、それを手に入れるために何をするかで人物を見せましょう。生い立ちをすべて書く余裕はないので、追いつめられたときの選択を説明する一つか二つの細部を選びます。多くの短編は視点人物が一人で、ほかの人物は二、三人までです。

この人物が絶対にしないことは何かを考え、それをせざるを得ないかもしれない状況を作りましょう。キャラクタープロフィールは、その圧力を与えてくれる範囲でだけ役に立ちます。短編では読者が各人物に出会う回数が少ないため、長編以上に名前が大切です。互いに区別しやすい名前をつけましょう。

ステップ5/9 · 執筆

短編小説はどう構成すればいいですか?

シンプルな構成は五つの部分からなります。最初の状況、それを乱す出来事、人物が試みては失敗する高まり、選ばなければならない転換点、そしてその選択の代償を見せる結末です。起承転結に近い形と考えてもかまいません。章立てやサブプロットは必要ありません。多くの短編は一つか二つの場面、あるいは一日のうちに収まります。

初稿はできるだけ少ない回数で書き上げましょう。始めから終わりまで語りの声がそろいます。中盤がだれたら、出来事を足すのではなく圧力を上げます。選択をより難しく、期限をより短く、代償をより大きくするのです。時間を行き来したり断章で書いたりする短編もありますが、どの部分も人物を転換点へ押し出すべきです。

短編小説の五つの部分それぞれを、何が変わるかについての一文で書きましょう。五つすべてが一つか二つの場面に収まる短編も多くあります。
  1. 状況

    一人の人物、場所、その人の望み

  2. 乱れ

    何かがそれを乱す

  3. 高まり

    試みるが、事態は悪化する

  4. 転換

    選ばなければならない

  5. 結末

    その選択の代償が見える

ステップ6/9 · 執筆

短編小説の書き出しはどうすればいいですか?

できるだけ遅く、問題が始まる瞬間の近くから始めましょう。最初の段落で、具体的な場所にいて何かを望んでいる人物のそばに読者を置き、何かがおかしいことをほのめかします。説明は後回しでかまいません。何かが懸かっていれば、読者はまだよく知らない人物にもついていきます。

初稿の多くは、目覚めや移動、過去の回想などで一、二ページ早く始まっています。試しに最初のページを削ってみて、話が通じるか確かめましょう。たいていは通じ、そのほうが速く読めます。描写するだけの一文より、問いを投げかける一文のほうが書き出しとして強く働きます。

ステップ7/9 · 執筆

短編小説の結末はどう書けばいいですか?

転換点の近くで、読者が何が変わったかを見て取れたところで終わりましょう。すべての糸を結ぶ必要はありませんが、冒頭が投げかけた問いには答えるべきです。たとえその答えが、人物が失敗する、あるいは拒むというものであっても。最後の情景や一文は、冒頭の何かを、いまは違って見える形で響かせることがよくあります。

意味を説明してしまう結末や、夢オチのように物語を取り消す結末は避けましょう。結末が見つからないときは、プレミスの一文に戻ります。何が変わったのか。結末とは、読者がそれを目にする場面です。自然に感じるより一段落早く終えると、結末が強くなることがよくあります。

ステップ8/9 · 仕上げ

短編小説はどう推敲すればいいですか?

数日寝かせてから、読者と同じように一気に通して読みましょう。興味が途切れたところ、分かりにくかったところ、話がはっきりしたところに印をつけます。まず大きな問題、つまり書き出し、転換点、結末を直します。次に、人物を転換点へ導かない場面や文をすべて削ります。ほとんどの短編は短くなるほど良くなります。

最終稿は声に出して読み、リズムや言葉の重複を確かめましょう。題名は最後に決めます。良い題名は、本文が語らない何かを付け加えます。投稿する前に一人か二人に読んでもらい、気に入ったかどうかではなく、どこで退屈したかを尋ねましょう。

大きな問題から順に推敲する
  1. 寝かせる

    原稿を数日しまっておく

  2. 通して読む

    興味が途切れた箇所に印をつける

  3. 書き出し・転換・結末

    物語を支える三か所を直す

  4. 削る

    転換点につながらないものを取り除く

  5. 音読する

    リズムと言葉の重複を確かめる

ステップ9/9 · 仕上げ

短編小説はどこに投稿できますか?

文芸誌や出版社の新人賞、短編を募集する文学賞、地方自治体などが主催する公募、同人誌、小説投稿サイトが主な発表の場です。応募する前に過去の受賞作を読み、応募規定の枚数・書式・締切を正確に守りましょう。多くの新人賞は未発表作品に限っており、二重投稿を禁じています。

落選は当たり前と考えましょう。多くの賞では受賞作はわずかで、落選の理由はほとんど知らされません。どの作品をどこに送ったか一覧にしておき、結果が出たら次の応募先を探しましょう。投稿サイトやブログに載せた作品は発表済みと見なされることがあるので、応募規定を必ず確認してください。

各ステップの無料ツール

短編を書く各ステップに、無料のツールや資料があります。ブラウザで開くだけで、インストールは不要です。

短編小説を書くステップと、無料のツールや資料の対応表
必要なもの使う場所得られるもの
物語への入り口が見つからない前提を引くかお題を選び、十分間書く創作のお題書き始められる最初の場面
主人公が薄っぺらく感じる目標、人間関係、選択からプロフィールを組み立てるキャラクタープロフィール作成書ける場面につながるワークシート
時代と場所に合う名前がほしい生まれ年から時代に合った名前を引くキャラクター名ジェネレーター互いに区別しやすい名前の登場人物
今月中に初稿を書き上げたい目標の字数を毎日の目標に分ける執筆目標プランナー完成日と一日の執筆量
創作の用語を理解したい創作用語集で調べる創作用語集例つきの定義

よくある質問

短編小説の要素は何ですか?

学校では一般に、登場人物、舞台(設定)、筋、葛藤、主題の五つが教えられ、視点や文体を加えることもあります。実際に短編をひとつにまとめているのは葛藤です。何かを望み、それを簡単には手に入れられない一人の人間です。

短編小説を書く手順を教えてください。

場面を見つける、プレミスを一文で書く、おおよその長さを決める、主人公を作る、五つの部分を組み立てる、書き出しを書く、結末を書く、推敲する、投稿する。このページの九つのステップはこの順番に沿っています。

短編小説を書くのにどれくらいかかりますか?

1万字ほどの初稿なら、二〜六回の執筆で書き上げる人が多く、推敲には初稿以上の時間がかかることがよくあります。ショートショートなら一時間で下書きできることもあります。本当に時間がかかるのは読み返しと削りです。

短編小説は何文字くらいですか?

原稿用紙でおよそ数十枚、1万〜3万字前後が目安です。数枚〜十数枚ならショートショートや掌編、100枚を超えると中編と呼ばれることが多くなります。応募する場合は規定の枚数が優先です。

短編に主人公が二人いてもいいですか?

かまいませんが、ほとんどの短編は視点人物を一人にしています。短編には一人の変化を間近で追う余裕しかないためです。主人公が二人いる短編は、その片方の内側から見た一つの関係を描くことが多いものです。

短編にはどんでん返しが必要ですか?

物語から自然に生まれるなら効果的です。それまでの場面の意味を変えるどんでん返しは強い力を持ちますが、唐突な驚きは小手先の仕掛けに見えます。目指すのは、読者が予想しなかったのに必然だと感じる結末です。

短編小説と長編小説の違いは何ですか?

長さの違いは明らかですが、より大きいのは扱う範囲です。長編は時間をかけて複数の葛藤と人物を追い、短編は一つの葛藤を一つの変化まで追います。だから短編は、ひとつの瞬間で終わっても完結して感じられるのです。

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