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物語の技法

ダングリング・モディファイア

別名:懸垂修飾語、懸垂分詞

文の中に論理的に修飾できる語がないため、間違った語に結びついてしまう修飾句です。英語の「Walking to school, the rain started」は、雨が歩いていたと言ってしまいます。

直す前と後の同じト書き。

宙に浮いた句
額から血を流しながら、車のドアが閉まる。
直した文
額から血を流しながら、ジャックは車のドアを閉める。

実践では

ダングリング・モディファイア(dangling modifier)は、文の中に論理的に修飾できる語がない修飾句のことで、日本語では懸垂修飾語と訳されます。英語の典型例は「Walking to school, the rain started」です。「学校へ歩いていて」は歩いていた人を修飾するはずですが、近くにある名詞は「雨」だけなので、文は雨が歩いていたと言ってしまいます。書き手は誰が歩いていたかを知っていますが、文はそれを言っていません。

英語では、ほとんどが-ing形、過去分詞、to不定詞で始まる文頭の句です(「Having finished the essay」「Covered in mud」「To get a good grade」)。英語の読み手は、文頭の句をコンマの直後に来る主語に結びつけます。その主語が動作をする人でなければ、修飾句は宙に浮いてしまうのです。日本語にも同じ落とし穴があります。「額から血を流しながら、車のドアが閉まる」のように、「〜ながら」「〜て」の主体と文の主語がずれる、いわゆる「ねじれ文」です。

直し方は、動作をする人を名指しすることです。主節の主語にする(「学校へ歩いている途中で、私は雨に降られた」)か、句の中にその人を入れる(「私が学校へ歩いていると、雨が降り出した」)かのどちらかです。どちらも書き手が言いたかったことを言っています。文頭の句の後のコンマ、日本語なら読点を探す習慣さえあれば、どちらの直し方も簡単です。

本読みで見つかったダングリング・モディファイア

ト書きを文字どおりに読むナレーター

INT. 会議室 - 昼

本読みの最中。脚本家のケイコ(30代)が、声を出さずに口を動かしている。ナレーター(40代)は、彼女のト書きを書かれたとおりに読み上げる。

NARRATOR

「額から血を流しながら、車のドアがジャックの背後で勢いよく閉まる」。

キャストたちが笑う。ケイコは顔を覆う。

ACTOR (JACK)

車は大丈夫なの?僕は車の心配をしたほうがいい?

ケイコは台本に走り書きする。「額から血を流しながら、ジャックは車のドアを勢いよく閉める」。

ケイコは血を流しているのがジャックだとわかっていましたが、彼女の文は、文頭の句を読点の後の最初の主語「車のドア」に結びつけていました。声に出して読めば笑える間違いですが、忙しい読み手が黙読すれば、ただ混乱するだけです。直した文ではジャックが主語になり、修飾句は自分が描写する人物にきちんと着地しています。

ダングリング・モディファイアの例と直し方

宙に浮いた例:「Having finished the assignment, the TV was turned on.」(課題を終えて、テレビがつけられた)。テレビは何も終えていません。直した例:「Having finished the assignment, Maria turned on the TV.」(課題を終えて、マリアはテレビをつけた)。または「After Maria finished the assignment, she turned on the TV.」(マリアは課題を終えた後、テレビをつけた)。

宙に浮いた例:「To improve his grades, a tutor was hired.」(成績を上げるために、家庭教師が雇われた)。誰の成績でしょうか。直した例:「To improve his grades, Leo hired a tutor.」(成績を上げるために、レオは家庭教師を雇った)。宙に浮いた例:「After years of neglect, the new owner restored the house.」(何年も放置された後、新しい持ち主が家を修復した)。放置されていたのは持ち主ではありません。直した例:「何年も放置されていた家を、新しい持ち主が修復した」。

宙に浮いた例:「As a child, my father took me fishing.」(子どもの頃、父は私を釣りに連れて行った)。直した例:「When I was a child, my father took me fishing.」(私が子どもの頃、父は私を釣りに連れて行ってくれた)。この誤りは自分のことを書くエッセイや出願書類によく出てきます。子どもが誰だったかを書き手が確信しすぎていて、文がそれを言わないのです。

懸垂修飾語と位置の誤った修飾語

位置の誤った修飾語(misplaced modifier)には修飾すべき語がありますが、置き場所が悪いために、別のものを修飾しているように見えます。「紙皿にのった子どもたちにサンドイッチを配った」では、子どもたちが紙皿にのっています。直した例:「子どもたちに、紙皿にのせたサンドイッチを配った」。動作をする人も、修飾されるものも文の中にあり、修飾語を正しい語の隣へ動かすだけで済みます。

グルーチョ・マルクスは『けだもの組合』(1930)で、これを使ったジョークを作りました。「ある朝、パジャマ姿で象を撃った。どうやって象が私のパジャマに入り込んだのかは、わからずじまいだ」。「パジャマ姿で」は話し手にも象にも係ることができ、二文目はわざと間違ったほうを選んでいるのです。

一語でも位置を誤ることがあり、日本語ではとくに係り受けのあいまいさとして現れます。「黒い目の大きな女の子」は、黒いのが目なのか女の子なのか、大きいのが目なのか女の子なのかがはっきりしません。英語でsquinting modifierと呼ばれるのは、二つの語の間にあってどちらも修飾できる語で、「Students who study rarely fail」の「rarely」がその例です。語順を変えるか読点を打って、迷いを取り除きましょう。

下書きの中で懸垂修飾語を見つける方法

文の始まり近くにあるコンマや読点を探しましょう。文頭の句ごとに、誰がこれをしているのかを自問します。それから、コンマや読点の後に来る最初の主語を見ます。それが答えでなければ、修飾句が宙に浮いています。一ページにつき数分で済み、ほとんどすべてを見つけられます。

主節の受け身に注意しましょう。「報告書を読んで、決定が下された」が宙に浮いているのは、受け身が決めた人たちを隠しているからでもあります。主節を能動にする(「報告書を読んで、理事会は決定を下した」)と、たいていは修飾句が期待する場所に正しい主語が戻ってきます。

本読みのナレーターのように、文を文字どおりに読みましょう。懸垂修飾語が生き残るのは、書き手の頭が欠けている主語を補ってしまうからです。一語ずつ読むか、誰かに一ページを声に出して読んでもらうと、その癖を断ち切れます。

ト書きで懸垂修飾語が問題になる理由

脚本のト書きは、文頭の句であふれています。書き手が動きと描写を一つの短い文に詰め込むからです。「銃を構えたまま、彼女はドアを蹴り開ける」は成り立ちます。銃を持っているのは「彼女」だからです。問題が起きるのは、読点の後の主語が物や場所の場合です。「銃を構えたまま、ドアが勢いよく開く」では、ドアが銃を構えています。

脚本の速さで読み進める読み手は、たいていあなたの言いたいことを推測してくれますが、推測のたびに一瞬の注意が失われ、笑える推測は書き手としての信用を失わせます。仕上げの推敲では、句で始まるト書きを一つずつ確かめ、読点の直後の主語が、その動作をする人や物になっているかを確認しましょう。

よくある質問

ダングリング・モディファイアとは何ですか?

動作や性質を描写する句なのに、文がそれが誰や何を描写するのかを示していないため、間違った語に結びついてしまうものです。「学校へ歩いていて、雨が降り出した」を英語の語順で書くと、雨が歩いていたことになります。

ダングリング・モディファイアの例を教えてください。

「Having finished the assignment, the TV was turned on.」(課題を終えて、テレビがつけられた)。句は人を描写するはずなのに、主語はテレビです。直すと「課題を終えて、マリアはテレビをつけた」になります。

ダングリング・モディファイアはどう直せばよいですか?

動作をする人を名指しします。文頭の句の直後でその人を主語にするか、句をその人を含む節に書き直します。たとえば「私が学校へ歩いていると、雨が降り出した」です。

懸垂修飾語と位置の誤った修飾語はどう違いますか?

懸垂修飾語には、文の中に論理的に修飾できるものがありません。位置の誤った修飾語は、正しい語が文の中にあるのに離れすぎているため、別のものを修飾しているように見えます。

懸垂分詞(dangling participle)とは何ですか?

-ing形や-ed形などの分詞で作られた懸垂修飾語で、「Exhausted from the trip, the bed looked inviting.」(旅に疲れて、ベッドが魅力的に見えた)のようなものです。いちばんよく見られる種類です。

ダングリング・モディファイアは文法の誤りですか?

改まった文章では誤りとされます。書き手が意図していないことを文に言わせてしまうので、スタイルガイドや先生は誤りとして扱います。くだけた会話ではよく使われ、たいていは通じます。

スクインティング・モディファイアとは何ですか?

二つの語の間にあって、どちらも修飾できてしまう修飾語です。「Students who study rarely fail」の「rarely」は、勉強にも不合格にも係ります。語順を変えるか読点を打てば、あいまいさがなくなります。